ビリーバーだった私について告白してみる

dlitさんの「メモ:サイエンスコミュニケーションと科学者/研究者/専門家に何を求めるか問題 - 思索の海」というエントリを受け、ばらこさんがあげた「サイエンスコミュニケーションで素人にできることを考える(改題)(2) - ばらこの日記」から派生する形で、ニセ科学批判クラスタ蒼々錚々たる方々が次々とご自身の履歴を公開していらっしゃいます。(誤字をご指摘くださった方、ありがとうございます)

或るトンデモ支持者の履歴――科学的懐疑主義に目覚めるまで:
http://seisin-isiki-karada.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-2a05.html

サイエンスコミュニケーションで自分なりに考えていること - とらねこ日誌
http://d.hatena.ne.jp/doramao/20110715/1310730195

信奉者だった僕はどのようにして懐疑論者と呼ばれるようになったか - Skepticism is beautiful
http://d.hatena.ne.jp/lets_skeptic/20110715/p1

A Translator Like Croton Leaves | わたしもいっちょう黒歴史を曝すか。
http://p450.hiho.jp/blog/log/eid1660.html

人に黒歴史あり - ばらこの日記
http://d.hatena.ne.jp/rosechild/20110716/1310781299


私は研究者ではありませんし、たまにトンデモ批判のようなものを書いているに過ぎませんが、ばらこさんが書かれた以下の一文に後押しをされて、私も黒歴史の一部(もっとあるのかー!)を書いてみようと思いました。

3)もし、自分が過去にトンデモな情報を信じていたとか、信じるだけでなくて他の人にも自信満々発信していたとか(私です)そういうことがあれば、そのプロセスをできる範囲で言語化し公開する。それは必ず同じ轍を踏む人が立ち戻る際の参考になる。だまされる人が減れば「だまされる人を減らす」ために費やされているエネルギーをもっと生産的な方向に振り向けることができる。

サイエンスコミュニケーションで素人にできることを考える(改題)(2) - ばらこの日記」より引用

私がネットでニセ科学批判らしいことをした最初の記事は「水伝」と波動ビジネス【追記有り】(2008年9月にup)でした。
これを書いたいきさつは置いておきますが、エントリ中で書いているように「波動ビジネス」について調べたのは今から12〜3年も前のことです。当時、友人が波動ビジネスの末端にいたことがきっかけでした。実際に「波動転写機」に触れたり説明を聞きましたが、怪しさは募るばかり。パソコン通信(古!)で情報を集めたりして、その結果を友人にも伝え、商売から手を引くよう強く勧めました。結果、その友人とは長い間疎遠になってしまいました。

実は、この友人がトンデモにはまったのは、このときが最初ではありません。最初は、ESP科学研究所が開発した「ESPシール」なるものでした。私も数枚貰い電話などに貼っていましたし、本も読んだりしましたので大方は信じていましたが、飽きっぽい性格が幸いして、はまるまでには至りませんでした。

そもそものはなし…。私はトンデモやオカルトに親和性が高かったのだろうと思います。
3歳上の兄が中学生の頃からそういったものへの関心が強く、家にはその手の本が何10冊とありましので、私もその殆どを当たり前のように読んでいました。実際にスプーンを曲げようとしたことも、ピラミッドを作ってかぶった(!)こともある、オカルト大好き少女へと育っていきました。

大人になってからは、いわゆる精神世界やスピリチュアルなことに傾倒していた時期もあります。一時期の愛読書は「アウトオン・ア・リム」だったりして…(うー、恥ずかしすぎるわ)。そういう人間をトンデモの世界へ誘うのは当然の成り行きですね。その後も数多くのトンデモと接近遭遇することになります。その中から、先の友人と疎遠になるまでの間に彼女からもたらされたトンデモ情報の数々と、それによって心境がどのように変化していったか、つまり、私がどのようにトンデモと決別していったかを書いてみます。

個性學

彼女のお母さんがやっていたもので、私も勧誘されました。四柱推命をもとにした占いであるにも関わらず、心理学を使い云々というところに納得が出来ず決裂。


オルゴン・ボックスで気波動を転写した「ワンダービーズ」
ミステリーピクチュア・プラーナDX
・血液がさらさらになり免疫力が上がるという納豆菌のサプリ(ネットワークビジネス 現在は閉鎖)
・気功の波動を飛ばす装置(?)での遠隔治療(現在は他の治療法に転換)

彼女がインストラクターを務めるイベントや遠隔治療の見学に連れて行かれたり、それらの開発者(?)が主催するトンデモ関連の商品を扱っている人達のパーティーに出席したこともあります。
トンデモに対する敵意に似たものを感じ始めたのは、たぶん、この頃からだったと思います。どこに行っても「○○が治った」という体験談を聞かされ、病気などの深刻な状況から「藁にもすがる思い」の方がターゲットになっていると知ったこと、また、ネットワーク商法で売られる商品も少なからずあるということへの抵抗感からでした。

同じ頃、大きな心境の変化をもたらす出来事がありました。
かの友人の妹(重度のアトピー)がステロイドへの恐怖心から、「波動を転写した」オイルを塗るという代替療法を始めました(恐怖心を植え付け、このような治療法を勧めたのは姉や母でした)。「今ひどい状態なのは好転反応だから、ステロイドを使うと今までの努力が無駄になるから」といい、いくら勧めても病院に行こうとはしませんでした。体中から体液がしみ出ているので服が着られないため薄物を1枚まとっただけの姿で、真夏なのにストーブのそばでぶるぶる震える姿が忘れられません。幸いにも大事に至らず数ヶ月後には状態が良くなりましたが、上記のような「治療」が効いたのだという思いを強めてしまったようでした。

私はこれらも商売に手を出すことはありませんでしたが、好奇心からとはいえ彼女の意に沿うように動いてしまったことで、結果的には彼女が手を引くタイミングを逃すことになったのではないかという後悔の念が今も残っています。


私は科学が苦手ですし論理的な思考も余り得意ではありません。また、ニセ科学について系統立てて学んだことはなく、様々な人からトンデモな情報をもたらされる度に泥縄式に学習を続けてきただけです。「波動」を初めとするトンデモ・ビジネスの有様を垣間見、また、人は被害者になるだけでなく加害者にもなってしまうことを目の当たりにして、ニセ科学やトンデモから離れることが出来ました。とはいえ不用意に何かを信じてしまったり、まだまだ危なっかしいところは残っています。

自分の専門分野(児童虐待、DV、被害体験などのトラウマ)にも、怪しい治療法や理論はゴロゴロしていますし、自戒のためにも泥縄式の学習は今後も続いていくものと思われます。\(-_-;)おいおい

ニセ科学やトンデモ、オカルト、スピリチュアルなど用語の使い方が適切ではないかも…ちょっと不安