いろいろとひっつきもっつきだったようで…。

大島九州男参議院議員民主党比例区)の復興支援便乗疑惑が話題になっていましたが、新たに利益誘導疑惑が浮上しました。まずは朝日新聞から転載します。

http://www.asahi.com/national/update/0711/TKY201107110034.html(魚拓)

民主・大島参院議員の身内企業に5百万円超支出 党支部

 民主党大島九州男(くすお)参議院議員が代表者の政党支部民主党参議院比例区第37総支部」(福岡県直方市)が2009年、大島氏の親族や公設秘書(当時=6月末に辞任)が社長を務める二つの会社に、事務所の家賃や機関紙の製作費などで計500万円以上支出していたことがわかった。政党支部政党交付金1千万円を受け取っている。

 公設秘書は政党支部の会計責任者で、同時に2社の取締役だった。しかし、兼職する場合に義務づけられる、参議院への届け出をしていなかった。

 政治資金収支報告書や大島事務所によると、政党支部が、民主党機関紙の作製や配布などの業務を外注したのは「日本サポート協会」。01年設立の通信教育や留学のコンサルタントをする会社で、当初は前公設秘書が、09年9月からは大島氏の姉が社長を務める。大島氏の妻も監査役をしている。外注額は計約268万円で、「(発注した仕事には)専門性は特にない」と事務所関係者はいう。

 前公設秘書は「大島議員と相談して決めた。会社をどうにかして動かそうという思いもあった」と話す。

 政党支部から4室計267万円の家賃が支払われていたのは「九誠」。不動産取引や学習塾を経営する会社で、大島氏の父親が社長を、前公設秘書が取締役を務める。大島氏も01年まで取締役だった。

 政治団体の会計責任者を務める、ある国会議員の秘書は、「会計責任者と支出先の取締役を兼務するのはおかしい。これだと自分の会社への利益誘導が自由にできる。『政治とカネ』に厳しい時代なのに不透明だ」と話す。

 大島氏の事務所は、「業務の発注は支部として必要なサービスを円滑に受けられると判断したつもりであり、料金も社会通念上、妥当な額で特に問題はない。(兼職の無届けは)改善すべきだったと考える」とコメントした。(松田史朗、前田伸也)

※強調は筆者による


実は、以前に書いた「熊森とひっつきもっつき」というエントリに出てきた、私に名刺をくれた御仁というのが、誰あろう大島九州男氏のご夫人でした。さすがに名前を出してはまずいだろうと思い書きませんでしたが、大島議員ご自身がblogに日本熊森協会顧問であると書かれているし、日本熊森協会と関係の深い奥山水源の森 保全・再生議員連盟の幹事でもありますので、名前を伏せる必要は全くなかったなと今は思います。

そんなこんなで、大島議員には当時からかなり注目(?)しておりました。で、今回の件です。
復興支援便乗疑惑のことを調べていて、大島議員が代表を務める民主党比例区第37総支部の会計には不思議な記述があるのに気がつきました。事情があってこの件は伏せておりましたが、朝日新聞の記事も出たことですし、報道された関係者のコメントを検証してみたいと思います。
以下の検証作業の大半は総務省HPに掲載されている政治資金収支報告書によります。
http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/101130/30110032.pdf

記事中には、はっきりと書かれていませんが、民主党比例区第37総支部の住所で検索をしてみますと、いくつもの会社や政治団体の所在地になっています。
・(株)九誠
・テニスプロショップネクストワールド
・PXテニスクラブ
・有限会社 日本サポート協会(パソコン・ワープロ教室)
・パーソンクロス・2階(学習塾)
・ビスケットオフィス 直方営業所(保険代理店)
民主党比例区第37総支部
大島九州男九州事務所
・Local Political Party孫悟九(大島氏の資金管理団体
・一票一心の会(大島氏の資金管理団体
・高宮誠後援会事務所

ずいぶんと混み合った所帯のようですが、記事中に出てきた「(株)九誠」と「日本サポート協会」は同じビル内にあります。
まずはこのことを踏まえた上で、順を追って記事の検証に取りかかります。


■「日本サポート協会」に発注していた仕事とは?

検索結果によると業務内容はパソコン・ワープロ教室と出てくるのですが、記事では「通信教育や留学のコンサルタントをする会社」とあるので、こちらが本当なのでしょう。収支報告書から「日本サポート協会」に支払われた費目と金額を拾ってみるとこんな感じです。

車レンタル   \70,000×4=\280,000(H21.9月〜H21.12月)
データ入力業務 \100,000×3=\300,000(H21.10月〜12月)
会報制作料   \150,000×12=\1,800,000 (H21.2月〜H21.12月)※2月23日に150,000×2
カレンダー・デザイン作成・委託  \300,000(H21.1.2012.21 )

事務所関係者が言うように『(発注した仕事には)専門性は特にない』とは思えません。しかも通信教育や留学のコンサルタントの会社にデザインや会報制作を発注するのは不自然ですし、車のレンタル月7万というのも。「料金も社会通念上、妥当な額で特に問題はない」とも言えない気がしますね。


■ 法規に則った適正な会計処理だったのか?

別の記事 http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110712/plt1107121250003-n1.htm では 
『大島事務所は11日、夕刊フジの取材に対し、「法規に則って適正に会計処理をしている」とコメント』していますが、はたして本当にそうでしょうか?

報道では(多数の事業所が入ったビルの内)4部屋を第37総支部が借りているとされています。
であるにもかかわらず、第37総支部の電話番号と(株)九誠の電話番号は同じです。(大島氏の九州事務所も同じ番号を使っています)
で、収支報告書を見てみると、なぜか電話料金(計\216,052)は第37総支部の会計で処理されているのです。
(あえて書かない)その番号に電話をかけると、誰が電話を取り、なんという事業所名を名乗るのでしょうか。(謎だ…)

蛇足ですが、収支報告書を見ていて、もう一つ気になることがありました。備考欄に「徴難」と書かれた支出が13あり

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/news_seiji/pdf/seijishikinkiseihou_all.pdf

政治資金規正法 の あらまし(P6)

[収支報告書に併せて提出すべきもの] 政治団体の会計責任者は、収支報告書を提出するときは、収支報告書に記載すべき
支出に係る領収書等の写しを併せて提出しなければなりません。 領収書等を徴し難い事情があった場合には、領収書等を徴し難かった支出の明細書
又は振込明細書の写し及び振込明細書に係る支出目的書を提出します。 ※領収書等の徴収義務は、一件当たり5万円以上のすべての支出に係ります。

この徴難とは上記文書によると「領収書等を徴し難い事情があった場合」のことを指すと思われます。
数社へ(名刺や封筒など印刷、文具代など)の支払いに「徴難」が重複して書かれています。支払い方法の関係で領収書の発行が受けられなかったのでしょうか…。
であったとしても、1月にカレンダー制作(\286,650)を依頼した会社からの領収書もないのはどういうことなのでしょう。領収書くださいって普通は言うと思うんですけどね。
収支報告書をちょっと見た限りでも、胸を張って「適正に処理しています」とは言いかねるような内容だと私は思いました。


震災復興支援に便乗して政治資金を集めてしまったり、身内の会社の会計と政治資金の会計がぐちゃぐちゃだったり。
お財布まで、ひっつきもっつきしちゃだめだろうよ。

というオチかい\(-_-;) お後がよろしいようで…。