とある大学の看護学科で行われていること(2)

福岡県立大学看護学科付属ヘルスプロモーション実践研究センターのセンター長は佐藤香代教授です。こちらのプロフィールが分かりやすいので引用します。
佐藤 香代先生 / 女性のからだは賢い。 自分の身体とコミュニケーションをとろう!

福岡県立大学 看護学部 女性看護学助産学 教授
テームズバリー大学大学院(英国)留学。北里大学大学院修了(看護学博士)。研究テーマは、身体感覚で、96年より「身体感覚活性化(世にも珍しい)マザークラス」による妊婦の内面的変容過程に関する研究や、からだで感じる出産や性教育の提唱など、身体感覚に焦点を当てた健康ケアモデルの開発を行う。フムフムネットワーク代表。福岡市出身。

プロフィールの中から「身体感覚活性化(世にも珍しい)マザークラス」というものを、まずは見てみることにしましょう。

第13回「世にも珍しいマザークラス in 福岡」のご案内 
かつて「母親学級」と呼ばれていた、妊婦を対象とした講習会のようなものです。レッスン6まであり2〜3週間に1度の割合で行われます。カリキュラムのうちいくつか気になる点があるので、検討してみようと思います。『毎回、レッスン時には からだがゆるむ気功 を行』うのだそうですが、長くなるのでツッコミは省略。

レッスン1 2/5(木)息を感じる 触って感じる 【呼吸、出会いゲーム 】
♪知り合う、触れ合う、語り合う〜自己紹介、ブリージング、ハグを通して〜

ブリージングってなんでしょう?ジャパンブリージング協会のサイトから引用します。

ある一定の呼吸を行うことによって潜在意識に抑圧された感情の解放が行われ、私たちの持つ過去のトラウマとそこから発生する観念を解消することができます。感情の解放には、ブリージング以外に瞑想・催眠等の方法もありますが、それらに比べブリージングの効果は 大変具体的且つ明確で、問題が解消された実感を得ることができます。

呼吸法のようですが、過去のトラウマがそんなに簡単になくなるなら苦労はしません。簡単に「○○が治ります」というような療法は避けた方が無難だと私は考えています。

レッスン2 2/19(木)食で感じるわたしのからだ 【呼吸、食の体感(試食)、クイズ】
      赤ちゃんも喜ぶ〜からだがほしがる食事って・・・。
      野菜のエネルギーを引き出す慰安端レシピ

 「慰安端レシピ」というのは調べてみたけれど分かりませんでした。どなたかご存じの方はいらっしゃらないでしょうか?(情報求む)

※コメントで教えていただきました。ありがとうございます。
簡単レシピ」のミスタイプだとのこと
http://www.fukuoka-pu.ac.jp/academics/nurse/2011-0727-1901.pdf

仕方がないので分かるところから見てみますね。このHPの下の方にレッスン風景の写真が載っています。レッスン2の写真に注目すると、講師の後のホワイトボードに「身土不二」と筆で書かれた紙が貼ってあるのが見えます。講師は佐藤香代教授です。佐藤教授ご自身も玄米菜食を実践していらっしゃるそうですし、この講座でも玄米のおにぎりや野菜の沢山入った味噌汁などが饗されるのだそうです。

助産学・・・助産師の養成・・・身土不二・・・玄米菜食・・・
こういうキーワードを見ると、ついマクロビとか食養を思い浮かべてしまいますね(どらねこさんのおかげです)。実際のところ講座で教えている玄米菜食がマクロビかどうかは分かりませんが、医療者向けの「マザーズクラス」の研修では

私たちの食のクラスは、“身土不二”と“ヒトの食性”をテーマとしています。今回はその食のクラスで行っている1つの企画「おにぎり体感」を行いました。(中略)
 ゆっくり飲み込んだら、食への感謝の気持ちが自然と「いただきます」という言葉になりました。グループに分かれてマクロビ弁当をいただきます!お弁当を味わいながら、さまざまな場所から集った助産師たちの話が弾みました。

マクロビ弁当を食べてますね。他の研修でも、マクロビ・スィーツとかマクロビ・クッキーを食べることで、マザーズクラスの体験をしてもらうという記述がありました。ともあれ、助産院でマクロビや玄米菜食を勧められてヘビーにのめり込まれる方もいらっしゃるので、大学教授が直に教えるということの重みを私などは考えてしまいます。

参考:玄米菜食と助産院その結びつきは?ーとらねこ日誌

上記の医療者向けの研修、実は参加者の殆どが助産師です。また、佐藤教授は「全国助産師教育協議会」の理事であります。
全国助産師教育協議会理事名簿


非常に前置きが長くなりました(え?)。やっと核心にたどり着けました。
県立大の教授であり全国の助産師を教育する立場にある人の、以下のような言動を見て皆さんはどう思われるでしょうか?

すこやかMESSEGE夏4「からだは賢い。自分の身体の声を聴き、信じましょう。」から抜粋(魚拓

『乳酸菌生成エキス』は、妹からすすめられました。
無農薬大豆と乳酸菌でつくられており、人工的ではないところが気に入りました。
(中略)
腸は消化吸収はもちろん、免疫と関わっていたり、酵素をつくったり、デトックスの働きもありますからね。
本当に大事な臓器だと思います。
(中略)
特に妊婦さんは気づかってほしいですね。
最近羊水が汚れているとか、シャンプーのにおいがするとかいろいろなところで耳にします。
それに、妊婦さんは、ホルモンの関係や子宮が大きくなって腸の蠕動運動が抑制されるため、便秘になりがちです。
それでこの『乳酸菌生成エキス』を飲んでいただいたら好転するのでは
ないかと思い18人の妊婦にモニター調査をしてみたところ、予想以上の結果がでました。
(中略)
9月にその結果を学会で発表しようと考えています。すこやかMESSAGE 冬号で詳しくご紹介致します。
(改行位置を変更しました)

この文章が載っているのは、智通(乳酸菌生成エキス)なるものを売っているアムネットという会社のサイトです。商品の効能を謳う代わりに、著作物からの引用などで消費者の不安を煽るような文章がそこここに見られます。いくつか例を挙げてみます。

上記サイト「健康のキーポイント」より
ガン再発はなぜ?

『ガン免疫力』安保徹 著 大和書房(新潟大学大学院医学部教授)
〜抜粋して引用しております〜(中略)
 ガンの再発が多いこと自体、今おもに行なわれている手術、放射線、抗ガン剤という三大治療が、かえってガン治療に逆効果だということを
示しています。

この号だけでなく安保徹氏の本からの引用は方々に出てきます。


ガンの治療をするか?しないか?

ガン治療をするか?しないか?は本当に個人の選択になりますが
元気で意欲も好奇心もたくさんある方が、急に闘病すると最期までの時間が早いように思います。

病気の治療は、お医者様が促すままではなく自分自身で、勉強し情報を収集し選択してもらいたいと思います。

がん治療をすると早死にするそうです(棒)。


ヒブワクチン(Hib)と小児用肺炎球菌ワクチン

予防接種こそ!

保護者がしっかりと見極めをし何が必要で?何が必要でないか?
確認をしていただきたいと思います。

今回のセミナーで
予防接種の ???もお話してもらいたいと思いますね。

サイトのみならずセミナーでは予防接種を忌避させるような話をしている様子です。この業者がどのような商売の仕方をしているか、これらを読んだだけでも分かるのではないでしょうか。


先に引用した佐藤教授の文章については「羊水からシャンプーのにおいが」などと言っている時点で医療従事者とも教育者としてアウトだと思います。しかも、自分が関わっている妊婦さん達に、このような商法で売っている商品のモニターをさせ、なおかつ結果を学会発表し、その上このサイトで結果を公表するつもりでいるらしい。こういう人を「御用学者」と言います。

助産師によってビタミンKの代わりにホメオパシーレメディーを投与された赤ちゃんが亡くなった事件は記憶に新しいですが、教授でさえこうであるならば、ニセ科学や(意味のない)代替医療に傾倒する助産師が多数いるのも、ある意味うなずける話なのかもしれません。

今回はオチがなかった\(-_-;)

とある大学の看護学科で行われていること(1)

最近「スピリチュアル」な世界をビジネスの視点で読み解くというジャンルの本を立て続けに2冊読みました。
「霊と金―スピリチュアル・ビジネスの構造―」櫻井義秀著

「スピリチュアル市場の研究」有元裕美子著

両方とも非常に興味深い本ですが、感想文は他の優れたレビューに譲るとして…。
(以下、例によってダラダラと長い文章ですが最後までお付き合いいただければ幸いです)

このエントリを書こうと思ったのは「スピリチュアル市場の研究」という本の中で取り上げられている一つの事例に、私のひっつきもっつきセンサーがビリビリと反応したからなのです。

「大学の正規カリキュラムに組み込まれたヒーリング講座」(P89)

このヒーリング講座を取り入れたのは、福岡県立大学看護学部です。ヒーリングの教育・実践をしているのはアドラー・コリンズ慈観准教授という人で、大学付属のヘルスプロモーション実践研究センターでは、学生への教育の他に地域住民へのヒーリングセッションやアロマオイルマッサージを提供したり、ヒーリング講習会も行っています。

福岡県立大学の資料(PDF注意)http://www.fukuoka-pu.ac.jp/academics/nurse/files/jeken.pdf によるとアドラー・コリンズ慈観准教授は英国正看護師・救急救命士、教育学博士という肩書きの他に真言宗の僧侶でもあるのだそうです。先に挙げた本には、その他にも英国にて各種代替医療のライセンス取得(メディカルアロマセラピスト、フラワーエッセンス 、クリスタルヒーリング)とあり、いろいろマルチに活動されているようですね。

ヒーリングにも色々ありますが、アドラー准教授が教えているのは「ヒーリングタッチ」というものです。

http://hcpro.sblo.jp/article/32123655.html

7月に行った「第1回日本ホリスティックナーシング研究会」で講演をしてくださったアドラーコリンズ慈観先生から文部科学省認定の「ヒーリングタッチ」を学ぶことができることになりました!
(改行位置を変更しました)

ヒーリングタッチとは、1980年に米国の看護師ジャネット・メンゲンによって開発された、健康と癒しのためのエネルギーフィールドを整えるセラピーなのだそうですが、どうも気功の一種のようですね。前掲書にはヒーリング(気功)と書かれておりました。
それにしても「文部科学省認定のヒーリングタッチ」という表現はあざとすぎるんじゃないでしょうか。福岡県立大学がこのカリキュラムを取り入れたことをもって文科省認定というのはいかにもこじつけでしょう。

おまけ:
なかなか味わい深いので「日本ホリスティックナーシング研究会」の顧問、発起人の名簿へのリンクも貼っておきまする。
http://www.jhna.jp/hokkininn.html 

また、看護学科のHPには

「ヘルスプロモーション実践研究センター」においては、エビデンスに基づいたヒーリングの教育を行うと同時に、地域貢献として、地域住民の方々へも実践力をつける活動を続けています。

などと目をむくようなことが書かれており、思わず「エビデンスがあるなら見せてみんかい!」と、普段は使わないような汚い言葉が口をついて出そうになりました。いやいや、本当にあるなら見てみたいと思うんですよ。

これをお読みいただいている方の中には看護学科で気功を教えて何が悪いといわれる向きもあるかもしれません。しかし私には、看護師として身につけなければならないことが、気功より他にもっと沢山あるように思えてなりません。時間もお金も限られているんですから。ましてや、県立大学ですしね。

アドラー・コリンズ准教授のことを検索していて、もっとすごい人を発見してしまって。。。
実は、そっちの方がこのエントリーのメインだったりします。\(-_-;)

長くなりましたので分けます。

ビリーバーだった私について告白してみる

dlitさんの「メモ:サイエンスコミュニケーションと科学者/研究者/専門家に何を求めるか問題 - 思索の海」というエントリを受け、ばらこさんがあげた「サイエンスコミュニケーションで素人にできることを考える(改題)(2) - ばらこの日記」から派生する形で、ニセ科学批判クラスタ蒼々錚々たる方々が次々とご自身の履歴を公開していらっしゃいます。(誤字をご指摘くださった方、ありがとうございます)

或るトンデモ支持者の履歴――科学的懐疑主義に目覚めるまで:
http://seisin-isiki-karada.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-2a05.html

サイエンスコミュニケーションで自分なりに考えていること - とらねこ日誌
http://d.hatena.ne.jp/doramao/20110715/1310730195

信奉者だった僕はどのようにして懐疑論者と呼ばれるようになったか - Skepticism is beautiful
http://d.hatena.ne.jp/lets_skeptic/20110715/p1

A Translator Like Croton Leaves | わたしもいっちょう黒歴史を曝すか。
http://p450.hiho.jp/blog/log/eid1660.html

人に黒歴史あり - ばらこの日記
http://d.hatena.ne.jp/rosechild/20110716/1310781299


私は研究者ではありませんし、たまにトンデモ批判のようなものを書いているに過ぎませんが、ばらこさんが書かれた以下の一文に後押しをされて、私も黒歴史の一部(もっとあるのかー!)を書いてみようと思いました。

3)もし、自分が過去にトンデモな情報を信じていたとか、信じるだけでなくて他の人にも自信満々発信していたとか(私です)そういうことがあれば、そのプロセスをできる範囲で言語化し公開する。それは必ず同じ轍を踏む人が立ち戻る際の参考になる。だまされる人が減れば「だまされる人を減らす」ために費やされているエネルギーをもっと生産的な方向に振り向けることができる。

サイエンスコミュニケーションで素人にできることを考える(改題)(2) - ばらこの日記」より引用

私がネットでニセ科学批判らしいことをした最初の記事は「水伝」と波動ビジネス【追記有り】(2008年9月にup)でした。
これを書いたいきさつは置いておきますが、エントリ中で書いているように「波動ビジネス」について調べたのは今から12〜3年も前のことです。当時、友人が波動ビジネスの末端にいたことがきっかけでした。実際に「波動転写機」に触れたり説明を聞きましたが、怪しさは募るばかり。パソコン通信(古!)で情報を集めたりして、その結果を友人にも伝え、商売から手を引くよう強く勧めました。結果、その友人とは長い間疎遠になってしまいました。

実は、この友人がトンデモにはまったのは、このときが最初ではありません。最初は、ESP科学研究所が開発した「ESPシール」なるものでした。私も数枚貰い電話などに貼っていましたし、本も読んだりしましたので大方は信じていましたが、飽きっぽい性格が幸いして、はまるまでには至りませんでした。

そもそものはなし…。私はトンデモやオカルトに親和性が高かったのだろうと思います。
3歳上の兄が中学生の頃からそういったものへの関心が強く、家にはその手の本が何10冊とありましので、私もその殆どを当たり前のように読んでいました。実際にスプーンを曲げようとしたことも、ピラミッドを作ってかぶった(!)こともある、オカルト大好き少女へと育っていきました。

大人になってからは、いわゆる精神世界やスピリチュアルなことに傾倒していた時期もあります。一時期の愛読書は「アウトオン・ア・リム」だったりして…(うー、恥ずかしすぎるわ)。そういう人間をトンデモの世界へ誘うのは当然の成り行きですね。その後も数多くのトンデモと接近遭遇することになります。その中から、先の友人と疎遠になるまでの間に彼女からもたらされたトンデモ情報の数々と、それによって心境がどのように変化していったか、つまり、私がどのようにトンデモと決別していったかを書いてみます。

個性學

彼女のお母さんがやっていたもので、私も勧誘されました。四柱推命をもとにした占いであるにも関わらず、心理学を使い云々というところに納得が出来ず決裂。


オルゴン・ボックスで気波動を転写した「ワンダービーズ」
ミステリーピクチュア・プラーナDX
・血液がさらさらになり免疫力が上がるという納豆菌のサプリ(ネットワークビジネス 現在は閉鎖)
・気功の波動を飛ばす装置(?)での遠隔治療(現在は他の治療法に転換)

彼女がインストラクターを務めるイベントや遠隔治療の見学に連れて行かれたり、それらの開発者(?)が主催するトンデモ関連の商品を扱っている人達のパーティーに出席したこともあります。
トンデモに対する敵意に似たものを感じ始めたのは、たぶん、この頃からだったと思います。どこに行っても「○○が治った」という体験談を聞かされ、病気などの深刻な状況から「藁にもすがる思い」の方がターゲットになっていると知ったこと、また、ネットワーク商法で売られる商品も少なからずあるということへの抵抗感からでした。

同じ頃、大きな心境の変化をもたらす出来事がありました。
かの友人の妹(重度のアトピー)がステロイドへの恐怖心から、「波動を転写した」オイルを塗るという代替療法を始めました(恐怖心を植え付け、このような治療法を勧めたのは姉や母でした)。「今ひどい状態なのは好転反応だから、ステロイドを使うと今までの努力が無駄になるから」といい、いくら勧めても病院に行こうとはしませんでした。体中から体液がしみ出ているので服が着られないため薄物を1枚まとっただけの姿で、真夏なのにストーブのそばでぶるぶる震える姿が忘れられません。幸いにも大事に至らず数ヶ月後には状態が良くなりましたが、上記のような「治療」が効いたのだという思いを強めてしまったようでした。

私はこれらも商売に手を出すことはありませんでしたが、好奇心からとはいえ彼女の意に沿うように動いてしまったことで、結果的には彼女が手を引くタイミングを逃すことになったのではないかという後悔の念が今も残っています。


私は科学が苦手ですし論理的な思考も余り得意ではありません。また、ニセ科学について系統立てて学んだことはなく、様々な人からトンデモな情報をもたらされる度に泥縄式に学習を続けてきただけです。「波動」を初めとするトンデモ・ビジネスの有様を垣間見、また、人は被害者になるだけでなく加害者にもなってしまうことを目の当たりにして、ニセ科学やトンデモから離れることが出来ました。とはいえ不用意に何かを信じてしまったり、まだまだ危なっかしいところは残っています。

自分の専門分野(児童虐待、DV、被害体験などのトラウマ)にも、怪しい治療法や理論はゴロゴロしていますし、自戒のためにも泥縄式の学習は今後も続いていくものと思われます。\(-_-;)おいおい

ニセ科学やトンデモ、オカルト、スピリチュアルなど用語の使い方が適切ではないかも…ちょっと不安

いろいろとひっつきもっつきだったようで…。

大島九州男参議院議員民主党比例区)の復興支援便乗疑惑が話題になっていましたが、新たに利益誘導疑惑が浮上しました。まずは朝日新聞から転載します。

http://www.asahi.com/national/update/0711/TKY201107110034.html(魚拓)

民主・大島参院議員の身内企業に5百万円超支出 党支部

 民主党大島九州男(くすお)参議院議員が代表者の政党支部民主党参議院比例区第37総支部」(福岡県直方市)が2009年、大島氏の親族や公設秘書(当時=6月末に辞任)が社長を務める二つの会社に、事務所の家賃や機関紙の製作費などで計500万円以上支出していたことがわかった。政党支部政党交付金1千万円を受け取っている。

 公設秘書は政党支部の会計責任者で、同時に2社の取締役だった。しかし、兼職する場合に義務づけられる、参議院への届け出をしていなかった。

 政治資金収支報告書や大島事務所によると、政党支部が、民主党機関紙の作製や配布などの業務を外注したのは「日本サポート協会」。01年設立の通信教育や留学のコンサルタントをする会社で、当初は前公設秘書が、09年9月からは大島氏の姉が社長を務める。大島氏の妻も監査役をしている。外注額は計約268万円で、「(発注した仕事には)専門性は特にない」と事務所関係者はいう。

 前公設秘書は「大島議員と相談して決めた。会社をどうにかして動かそうという思いもあった」と話す。

 政党支部から4室計267万円の家賃が支払われていたのは「九誠」。不動産取引や学習塾を経営する会社で、大島氏の父親が社長を、前公設秘書が取締役を務める。大島氏も01年まで取締役だった。

 政治団体の会計責任者を務める、ある国会議員の秘書は、「会計責任者と支出先の取締役を兼務するのはおかしい。これだと自分の会社への利益誘導が自由にできる。『政治とカネ』に厳しい時代なのに不透明だ」と話す。

 大島氏の事務所は、「業務の発注は支部として必要なサービスを円滑に受けられると判断したつもりであり、料金も社会通念上、妥当な額で特に問題はない。(兼職の無届けは)改善すべきだったと考える」とコメントした。(松田史朗、前田伸也)

※強調は筆者による


実は、以前に書いた「熊森とひっつきもっつき」というエントリに出てきた、私に名刺をくれた御仁というのが、誰あろう大島九州男氏のご夫人でした。さすがに名前を出してはまずいだろうと思い書きませんでしたが、大島議員ご自身がblogに日本熊森協会顧問であると書かれているし、日本熊森協会と関係の深い奥山水源の森 保全・再生議員連盟の幹事でもありますので、名前を伏せる必要は全くなかったなと今は思います。

そんなこんなで、大島議員には当時からかなり注目(?)しておりました。で、今回の件です。
復興支援便乗疑惑のことを調べていて、大島議員が代表を務める民主党比例区第37総支部の会計には不思議な記述があるのに気がつきました。事情があってこの件は伏せておりましたが、朝日新聞の記事も出たことですし、報道された関係者のコメントを検証してみたいと思います。
以下の検証作業の大半は総務省HPに掲載されている政治資金収支報告書によります。
http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/101130/30110032.pdf

記事中には、はっきりと書かれていませんが、民主党比例区第37総支部の住所で検索をしてみますと、いくつもの会社や政治団体の所在地になっています。
・(株)九誠
・テニスプロショップネクストワールド
・PXテニスクラブ
・有限会社 日本サポート協会(パソコン・ワープロ教室)
・パーソンクロス・2階(学習塾)
・ビスケットオフィス 直方営業所(保険代理店)
民主党比例区第37総支部
大島九州男九州事務所
・Local Political Party孫悟九(大島氏の資金管理団体
・一票一心の会(大島氏の資金管理団体
・高宮誠後援会事務所

ずいぶんと混み合った所帯のようですが、記事中に出てきた「(株)九誠」と「日本サポート協会」は同じビル内にあります。
まずはこのことを踏まえた上で、順を追って記事の検証に取りかかります。


■「日本サポート協会」に発注していた仕事とは?

検索結果によると業務内容はパソコン・ワープロ教室と出てくるのですが、記事では「通信教育や留学のコンサルタントをする会社」とあるので、こちらが本当なのでしょう。収支報告書から「日本サポート協会」に支払われた費目と金額を拾ってみるとこんな感じです。

車レンタル   \70,000×4=\280,000(H21.9月〜H21.12月)
データ入力業務 \100,000×3=\300,000(H21.10月〜12月)
会報制作料   \150,000×12=\1,800,000 (H21.2月〜H21.12月)※2月23日に150,000×2
カレンダー・デザイン作成・委託  \300,000(H21.1.2012.21 )

事務所関係者が言うように『(発注した仕事には)専門性は特にない』とは思えません。しかも通信教育や留学のコンサルタントの会社にデザインや会報制作を発注するのは不自然ですし、車のレンタル月7万というのも。「料金も社会通念上、妥当な額で特に問題はない」とも言えない気がしますね。


■ 法規に則った適正な会計処理だったのか?

別の記事 http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110712/plt1107121250003-n1.htm では 
『大島事務所は11日、夕刊フジの取材に対し、「法規に則って適正に会計処理をしている」とコメント』していますが、はたして本当にそうでしょうか?

報道では(多数の事業所が入ったビルの内)4部屋を第37総支部が借りているとされています。
であるにもかかわらず、第37総支部の電話番号と(株)九誠の電話番号は同じです。(大島氏の九州事務所も同じ番号を使っています)
で、収支報告書を見てみると、なぜか電話料金(計\216,052)は第37総支部の会計で処理されているのです。
(あえて書かない)その番号に電話をかけると、誰が電話を取り、なんという事業所名を名乗るのでしょうか。(謎だ…)

蛇足ですが、収支報告書を見ていて、もう一つ気になることがありました。備考欄に「徴難」と書かれた支出が13あり

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/news_seiji/pdf/seijishikinkiseihou_all.pdf

政治資金規正法 の あらまし(P6)

[収支報告書に併せて提出すべきもの] 政治団体の会計責任者は、収支報告書を提出するときは、収支報告書に記載すべき
支出に係る領収書等の写しを併せて提出しなければなりません。 領収書等を徴し難い事情があった場合には、領収書等を徴し難かった支出の明細書
又は振込明細書の写し及び振込明細書に係る支出目的書を提出します。 ※領収書等の徴収義務は、一件当たり5万円以上のすべての支出に係ります。

この徴難とは上記文書によると「領収書等を徴し難い事情があった場合」のことを指すと思われます。
数社へ(名刺や封筒など印刷、文具代など)の支払いに「徴難」が重複して書かれています。支払い方法の関係で領収書の発行が受けられなかったのでしょうか…。
であったとしても、1月にカレンダー制作(\286,650)を依頼した会社からの領収書もないのはどういうことなのでしょう。領収書くださいって普通は言うと思うんですけどね。
収支報告書をちょっと見た限りでも、胸を張って「適正に処理しています」とは言いかねるような内容だと私は思いました。


震災復興支援に便乗して政治資金を集めてしまったり、身内の会社の会計と政治資金の会計がぐちゃぐちゃだったり。
お財布まで、ひっつきもっつきしちゃだめだろうよ。

というオチかい\(-_-;) お後がよろしいようで…。

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